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2011年6月の記事

2011年6月26日 (日)

と、言いつつ一週間後

『彼女の誕生日』
 volume 3 新学期

 

バス停から10分程歩くと学校がある。

普段なら何の事もない10分。

でも今日は凄く長く感じる。

そう、由香に告白したあの日の様に...。

覚悟を決めて校門を通る。

校舎の前にプレートが立ててあり、クラス分けの紙が

貼り出してあった。

先に登校して来た生徒達の人だかりの後ろから

恐る恐る近づく。

女子と違って男子クラスは決まっているから

自分のクラスはすぐ分かる。

問題はクラスの残りの女子...、由香の名を捜す。

 

由香の名前は無かった...。

と、言う事はもう一つの女子クラス。

顔を合わせなくてホッとした。

って、ホントか?

自分に問いただす。

「どうした、ぼ~として」

教室の戸の前で立ち止まっていた

僕の後頭部を小突いていった男がいた。

 

水谷。

相変わらず軽い奴。

いいよなぁ、お前は。

篠田がいるし、また一緒のクラスだろ。

どうでもいいけど、もう篠田を泣かすなよ。

目の前で、お前の事で泣かれても

どうしようもないんだからな。

奴の後ろ姿を見ながら呟く。

 

まぁ、水谷の事は放っといて

どのくらい知っている子がいるんだろうかと

教室の中を見渡す。

ほぼ全員登校してきたようだ。

ひとクラス45人、9クラス。

このクラス、女子は一年のクラスから

平均4~5人程度が来ているのかな。

数えてみたら同じクラスの子は5人だった。

それ以外にも同じクラブだった子とか

同じ部活の子もいた。

 

まだ予鈴がなっていないので

教室の中は人の固まりがそこかしこにある。

その固まりがめいめい違う話を

しているので騒がしい。

固まりの大体は同じクラスだった子達だろう。

その中で席に座って話している連中がいた。

「あれっ?」

その中の一人に目がいった。

そう言えば、あの子って確か・・・?

 

 

続く...

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2011年6月19日 (日)

多分、次は一ヶ月後?

『彼女の誕生日』
 volume 2 由香

 

歩いて10分位の所に地下鉄の駅がある。

地下鉄からバスに乗り換えで通学している。

入試の時はバス一本で学校まで行けたのに

直前3月に路線廃止統合で路線廃止されてしまった。

だから学割があるとは言え、定期代が高くなると

母親が怒っていた。

僕としても、地下鉄は混んでいて

人にカバンの角が当たらないように

気を付けなければいけなかった。

それと特にバスは凄かった。

始発停留所だったので座れる時もあって良いのだけど

『ハーレム』だと友達は言うぐらい、バスは女子が多かった。

最初は慣れなくて苦労したけど、程無く気にならなくなった。

そんな気苦労を忘れさせる程、学校に行くのが

楽しくなった。

そう、由香という子を知ってから。

クラスで一番背の小さい女の子。

でも、ちっちゃいことを物ともせず何でも頑張る子。

誰にでも屈託ない笑顔で話しかける子。

それが由香だった。

いつのまにか彼女を目で追っている僕がいた。

 

「○○○に似ている~」

遠足のバスの中、由香に言われた。

芸人とか、動物とか、物とかじゃなくアイドルに似ていると

好きな子に言われたことが嬉しかった。

今にも雨が降りそうなくらいの曇り空だったけど

僕の気持ちはその日一日中快晴だった。

二泊三日の野外活動の時、一日目の夕飯は飯盒炊さん。

どの班よりも僕の班が一番早く薪に火を付け、

カレーを一番早く仕上げた。

ゲストの先生の味の評判も良く、僕としては

同じ班の由香にもかなり株が上がったと思っていた。

でも、どれだけを見ていても、どれだけ知っているつもりでも

由香の心の中までは見えていなかった。

心の中に住んでいる人のことを・・・。

多分、それに気づいたのは夏休みを過ぎた頃。

初めて見た由香の寂しげな顔を、今でも覚えている。

その頃には例のクリップも付けていた。

 

そんなことをバスの中で思い出して、ボンヤリしていたら

バスが停まった。

乗って来たのはお婆さん一人。

滅多に乗降のないバス停で珍しいこともあるもんだ。

僕は座れる時は前後の扉の傍に座る。

学校傍のバス停は乗客の殆ど占めているウチの学校の生徒が降りるし

また乗る人もいないので暗黙の了解で前後の扉から

降りても良い事になっていた、と言うより降りて下さいと

運転手に言われていたからだ。

今日は一番前の左側に座っていたので

いち早く気づいた僕は、お婆さんに声をかけ席を譲った。

学校の二つ先のバス停の傍の病院に行くそうだ。


そうこうしている内に降りるバス停に着いた。

降りようとしたら手を掴まれた。

「ありがとう」と言いながら、お婆さんがくれたのは

あめ玉の包み一つ。

バスを降りてから、口に放り込む。

甘酸っぱい味が僕の不安な気持ちを

ほんのちょっと軽くしてくれた。

 

 

続く...

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2011年6月11日 (土)

むか〜し昔、ある所におじいさんとおばあさんが・・・

『彼女の誕生日』
 volume 1 告白 

 

ジリジリと目覚まし時計が鳴る。

起こされなくても自分で起きてくると親が安心している。

だから寝坊で学校に遅刻したことは全くない。

顔を洗ってから制服に着替え、ネクタイを締めるため

再び鏡に向かう。

僕の高校はブレザーなのでネクタイを締めるが

今日から二年生の新学期なのでネクタイの色が赤から紺に変わる。

普段は緩めているけど、まぁ今日は始業式だし

ちゃんと締めて気を引き締めて...、と言いたいところだけど

だけど...、気が重い。

と言うのも春休み前、同じクラスの佐藤由香に告白して振られた。

 

朝早く手紙で誰もいない教室に呼び出した。

部活の朝練の後、着替えもせずに来てくれたのは嬉しかったけど。

好きな人がいると言われた。

なんとなく分かっていた。

女子達の間でゼムクリップをハート型にして

胸ポケットに挟むのが流行っていた。

並べる数によって意味があって、由香は一つだったから。

その意味は、片想い中...。

だけど、気持ちだけでも伝えられたのは、今まで何も言えず

片想いで終わっていた僕にしては大きな進歩だったかも。

それだけ気持ちは大きかったと思う。

でも、気になるのは由香の好きな人。

すると僕の顔を見て察したのか、さすがに名前までは言わなかったけど

僕の知っている人だと言う。

もしかしたら、あの人か...。

 

二年からは選択科目クラスで、科目ごとに男女クラスと女子クラスになる。

僕の選択科目は2クラスで由香も同じ。

二分の一で同じクラス、四分の一で三年も一緒になる。

だから、すごく足が重く感じていっそ休んでやろかと思ったけど

それはあまりにも情けない話なのでやめた。

 

振られるって結構キツいもんだ。

春休みの間に吹っ切れてくれればとは思ったけど

やっぱり無理か。

おなじクラスだったら、どんな顔をして会えばいいのだろう。

なんたって振られるって初めての経験だし(モテるからと言う訳ではない)

由香も同じ事を考えているのかなぁ。

そうだとしたら、辛い思いをさせる?

告白するって...。

 

感情と理性の狭間でもがきながら家を出る。

 

 

続く...

 

 

あとがき

 

『bitter or sweet 』以来久々の長編続きものです。

今の中高校生の恋愛ネタは子供のいない私には書けそうもありません。

自分の高校生の頃を思い出し、いろいろあれこれふくらませながら

楽しんで書けたらなと思い、パソコンの前に向かっています。

最近のあることがきっかけなんですが、そのネタばらしは最終話でしようかと。

と、言う事は何話まで続くんだ?

どの位の頻度なんだ?

自分でもわかりませんが、がんばって書いてみようと思います。

大昔の恋愛話になるので、分からない人は両親に聞いてみてください。

同じような思いで毎日を過ごしていた人は結構いると思いますよ。

まぁ、でもそこまで若い人はそんなにここには来ないか。(^^;)


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