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2011年7月24日 (日)

暑中お見舞い申し上げます

『彼女の誕生日』
 volume 6 美由紀姉

 

美由紀姉こと近野美由紀。

母方の伯母の娘、一つ上の従姉だ。

お互い一人っ子、家が近所という事もあり

小さい頃から共働きの両親を持つ僕は

よく伯母の家にお世話になっていた。

伯母夫婦は僕と美由紀姉とを

本当の姉弟の様に接してくれたから

その頃僕は美由紀姉の事を

本当に姉ちゃんなんだと思っていた。

 

ある日の事。

母親から伯母家族が引っ越すと聞いた。

美由紀姉が小学校卒業後すぐらしい。

引越当日、伯母家族を乗せた引越トラックを

見送りながら僕は言いようの無い寂しさを感じていた。

それ以来、伯母さんに会う事はあっても

美由紀姉とはそれっきり会っていない。

そう、あの日までは・・・。

 

始業式の翌日、僕の学校は部活発表会というのがある。

新入生全員の前で、まとめて部活の勧誘をするもの。

一つの部に与えられた時間は3分。

まずは運動部からだった。

各々の部が短い制限時間の中で、頑張って

部紹介をしている。

剣道部の紹介が始まった。

横でマイクを持っているのは主将だろう。

主将の掛け声とともに打ち合いが始まる。

掛かり稽古と言うらしい。

程なく鮮やかな面が決まる。

お互いの礼の後、面を取って主将の横に並んだ人。

〈あれっ?どこかで見たような気が?〉

主将が言う次期主将候補のその人の

自己紹介を聞いて驚く。

「近野美由紀です。~~」

名前の後は噎せ返って聞こえなかった。

ようやく落ち着いて顔を上げた僕を見て

ニヤッと笑った顔は美由紀姉そのものだった。

 

「あれっ?叔母さん知っていたはずだよ。聞いてなかった?」

始業式の日に渡された全校生徒名簿から

クラスを捜し出して会いに行ったら美由紀姉は

ケロッとした顔で言った。

「聞いてねーよ、そんな事。」

「と、まぁそう言う訳で卒業までよろしくね。」

「・・・」

 

 

「ねぇ、ちょっとカズ!」

「あっ、お早う。美由紀姉。」

「こらこら、学校では先輩と呼びなさい。」

なんで上から目線?と言うか、そっちは愛称なのに。

でも小学校から剣道を始めた美由紀姉に

頭が上がらない僕。

「お早うございます、近野先輩。」

「よろしい。」

「で、何かご用ですか?」

「5月3日何か予定ある?」

「別にないけど。」

「寂しいおのこだなぁ。」

「大きなお世話!で、何?」

「暇ならデートしよっか?」

「えっ?」

 

 

続く...

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