« 朝晩冷えるね〜 | トップページ | まだまだ5月篇 »

2011年10月18日 (火)

リンダリンダ

『彼女の誕生日』
 volume 13 決心

 

「で?どうするのかな?」

「どうするって・・・。」

「ちょっとそこに入ろうか?」

美由紀姉が駅前の喫茶店を指差す。

席はカウンターも含め結構埋まっていたが

奥の方が空いていた。

僕はアイスコーヒー、美由紀姉はクリームソーダを頼む。

「へぇ~、グラスじゃないんだ。」

金属のマグカップが来た。

「ソーダの方も珍しいから。」

美由紀姉が期待しろと言う。

「へぇ~。」

出て来たのはブーツ型のグラスだった。

 

「さて、本題に入ろうか。と、その前に・・・ごめんなさい!」

店員が去った後、美由紀姉が頭を下げた。

「偶然会ったって言うのは嘘なの。」

「あぁ、やっぱりな。」

「気づいてたんだ。」

「美由紀姉達が居なくなった時、何となく。」

「そうなんだ。それで・・・怒ってる?」

「いや、その事は別に良いんだけど・・・。」

 

「まだ好きなの?彼女の事。」

しばらくの沈黙のあとストローでグラスの氷を

かき混ぜながら美由紀姉が聞いてきた。

そうだ、名前までは教えてなかったけど

美由紀姉には話していたんだっけ、由香の事は。

「・・・。」

「んっ?」

「改めて聞かれると・・・、どうなんだろう?」

「どうなんだろうって?」

「そう言えば、ここのところ考えてもなかった。」

本当にそうだった。

由香の事は忘れていた?ような気がする。

もしかしたら浅野の事を気にしていたからかも知れない。

そうだ、さっきのあの事を聞いてみるか。

「あのさ、美由紀姉に聞きたい事があるんだけど?」

「何?」

浅野が内緒だと言ってた事を聞いてみたが

「恵子が内緒と言ったんでしょ?だから教えな~い。」

クスッと笑いながらあっさりかわされた。

 

「で、どうするの?」

急に真顔になって、僕を見つめて聞いてくる。

「どうしようか・・・。」

「何か煮え切らないね。」

そんなこと言ったって、女の子から

告白なんかされたの初めてだし・・・。

「良い子だよ、恵子。付き合ってみれば?」

「・・・。」

正直、付き合うって言う事が僕はよく分かってないと思う。

前に由香に好きだと言った時でさえ

告白するのにいっぱいいっぱいで

その後の事は考える余裕がなかった。

「ねぇ?」

「・・・。」

「もう!そんなんじゃ、せっかく・・・」

続きの言葉を飲み込んで美由紀姉は黙ってしまった。

「せっかく何?」

続きをうながすと

美由紀姉の左の眼から一筋の涙が。

続けて右の眼からも。

「美由紀姉・・・。」

「・・・せっかく恵子が頑張ったのに。

どっちにしろ、ちゃんと応えてあげて。」

 

美由紀姉にハンカチを渡しながら

僕は決心をした。

連休明けにその気持ちを浅野に伝えよう。

それでいいよねと言ったら美由紀姉は

涙を拭きながら、ほんの少し笑った。

 

 

続く...

|

« 朝晩冷えるね〜 | トップページ | まだまだ5月篇 »

コメント

この店って、コメダですかね???

投稿: シロクマ | 2011年10月23日 (日) 22時19分

シロクマさん

クマが見事にエサに食い付いた ( ̄ー ̄)ニヤリ

投稿: のあ | 2011年10月26日 (水) 00時37分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/121724/42564353

この記事へのトラックバック一覧です: リンダリンダ:

« 朝晩冷えるね〜 | トップページ | まだまだ5月篇 »