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2011年10月 5日 (水)

朝晩冷えるね〜

『彼女の誕生日』
 volume 12 たった一言

 

「みっともないなんて思わないよ。」

「・・・。」

「優しい涙だから・・・、いいの。」

「浅野・・・。」

「ご、ごめんね。生意気なこと言って・・・。」

「いや・・・、ありがとう。」

「そう?よかった。」

「・・・じゃ、俺もひとつ聞いてもいい・・・かな?」

「なに?」

「あ、あのさ人づてに俺が優しいって・・・、何で?」

足下に落としていた視線を浅野は僕に向けた。

そのままじっと僕を見つめる。

「な、何?」

意外と綺麗な眼にドキッとする。

「やっぱり、近野先輩が言った通りだ。」

ふいにクスッと笑って浅野が言った。

「えっ?えっ?美由紀姉が何だって?」

「ナーイショ。」

 

そう言ったあと浅野は下を向いて黙り込んでしまった。

「・・・。」

「浅野・・・?」

「あ、あのね長野君・・・。」

「は、はい。」

「あのね・・・。」

「うん・・・。」

「・・・今日はありがとう。」

「えっ?あっ、うん。」

「・・・」

「・・・ごめんね、本当にごめんね!」

「えっ?あっ、おい!」

いきなり立ち上がり走り出した。

「恵子っ!」

腕を掴んで止めた・・・・・のは

ちょうど戻ってきた美由紀姉だった。

 

「おっと。」

つまづいてころびそうになって思わず声が出てしまった。

前を歩く三人・・・、と言うか浅野の後ろ姿を

見たまま歩いていたからだ。

僕のそんな声に気づかない程、僕は離れて歩いていた。

あのあと浅野は美由紀姉と二人離れて話していたが

僕とは一言も喋っていない。

「あっ。」

三人が角を曲がった。

そう言えば、その先はもう駅だ。

慌てて僕も角を曲がった途端、ドキッとした。

角を曲がった先に浅野がこちらを向いて立っていたからだ。

 

「長野君・・・。」

「は、はい。」

「・・・好き。」

あっと言う間だった。

たった一言それだけ言うと、くるりと向きを変え

その先にいた遠藤、駅へと走っていった。

茫然としている僕の横にいつの間にか来た

美由紀姉が僕の頭を小突く。

 

「で?どうするのかな?」

 

 

続く...

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コメント

こういう恥ずかしがりやでおしとやかな女の子は好きですね・・・。lovely

投稿: 昔のはーちゃん | 2011年10月 7日 (金) 11時30分

このような経験が全くないのでわかりませんが
しかし、こんな経験ができた人がやや羨ましいです。

このくらいの時はアホばかりやっていたので・・・

ではでは。paperbleah

投稿: 朔ちゃんの町の住人 | 2011年10月 7日 (金) 18時30分

昔のはーちゃん

>こういう恥ずかしがりやでおしとやかな女の子は好きですね・・・。
( ̄ー ̄)ニヤリ

投稿: のあ | 2011年10月18日 (火) 00時45分

朔ちゃんの町の住人さん

>このくらいの時はアホばかりやっていたので・・・
やんちゃだったってことですか?

投稿: のあ | 2011年10月18日 (火) 00時47分

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