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2012年2月の記事

2012年2月27日 (月)

鈍感

『彼女の誕生日』
 volume 22 何故?

 

私は何を言っているんだろう。

 

湯煎して溶かしたチョコをアルミのカップに流す。

大きめにしようかとも迷ったけど、やはり食べやすい小分けにした。

bitterとsweetを半々にする。

固まる前にアーモンドや小さなハートチョコをトッピングする。

「出来たぁ~。」

初めての手作りチョコは我ながらいい出来映えだと思う。

 

朝、箱に入れラッピングしてあったチョコをカバンに大事にしまう。

ドキドキを鎮めるため、玄関を出た所で一つ深呼吸する。

こんなにもドキドキする理由。

想いを告げた時から付き合い始めて九ヶ月、

私はまだ彼から私への想いを聞いてない。

だから今日はチョコを渡す時、改めて想いを告げる。

そして、彼の私への想いを確かめたい。

私と同じ気持ちでいてくれるなら、“好きだ”の一言が聞けたなら

すごく嬉しいんだけど・・・。

 

今朝は、いつもより早く学校へ来てしまった。

彼はまだ来ていなかった。

朝に渡すのだろうか、紙袋を持った子達が廊下を走って行く。

私は放課後に渡そうかな。

カバンの中のチョコを見て、視線を廊下に戻したら

ちょうど教室に入って来た長野君と目が合った。

なんか照れ臭くって、おはようが上手く言えなかった気がした。

帰りに渡す約束をして、放課後いつもの様に図書室で彼を待つ。

一冊読み終わって本棚に返しに行くとき壁の時計が目に入った。

「あっ、もうこんな時間だ。」

もう部活の終わる時間だった。

テニスコートが見える窓の外を見てみた。

 

いたたまれなくなって図書室を飛び出した。

図書室から見えるテニスコート。

誰も居ないテニスコートを金網越しに見入る様に立っていた人・・・。

不安な気持ちで心臓が早鐘を打つ。

体育館の角を曲がって横を抜ければテニス部の部室だ。

「嘘・・・。」

体育館の横で見た光景に足が竦む・・・。

 

気が付いたらテニスコート脇に立っていた。

さっき図書室から見た場所・・・。

「どうした?こんなところで?図書室で待ってるんじゃなかった?」

彼の声に振り返った私はどんな顔をしていたのだろう?

「ど、どうかした?」

彼のうわずった声と驚きの表情。

そりゃ、そうだろう。

あんなところを見て平気でいられる訳がない。

現に立っているのがやっとだった・・・。

「も、もしかして、さっきの見てた?」

「・・・。」

私の表情から察してか、彼の問掛けに無言で頷く私。

「美由紀姉の悪い癖だってば。すぐからかうからさ。好きだなんて悪い冗談だよな。」

「・・・思ってる?」

「えっ?」

「本当に冗談だと思ってる?」

「えっ、だって冗談って言ったし、彼氏だっているし・・・。」

「二人でいるところを見かけた事あるの?会った事あるの?」

「そ、それは・・・、ないけど。」

「それに居たって関係ないもん!好きだったら関係ないもん!」

「・・・好きって、何で言いきるのさ。」

「分かるよ!同じ想いを持った女の子だから!」

 

私は何を言っているんだろう。

彼が近野先輩の想いを冗談と思ったなら

近野先輩が彼への想いを冗談と言ったなら

そのままなら、単なる私のヤキモチで済む事なのに・・・。

そうだ、私は確かめたかったんだ。

彼の想いを、私が一番好きなんだって。

それなのに・・・。

ねぇ何でそんな困った顔をするの?

何で何も言ってくれないの?

 

「・・・もういい。」

「えっ?」

「もういいよ!」

「浅野?」

“浅野?”彼の言葉に私の中で何かが弾けた。

「・・・なんだから。」

「えっ?」

「何もかも鈍感なんだから!」

彼に背を向けて歩き出す。

「浅野っ?」

「付いて来ないで!」

こんな泣き顔を見られたくない。

 

その後どこをどう歩いたか覚えていない。

でも、気が付いたら私は病院のベッドの上にいた。


 


 


続く...

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2012年2月14日 (火)

バレンタイン

『彼女の誕生日』
 volume 21 予感

 

登校・下校時の学校はざわめいている。

そんなのは当たり前なんだけど、今日はいつもと違うざわめきの朝だった。

バレンタイン・デー、男子も女子も期待と不安で一杯の日。

登校中に大小様々な紙袋を持った女子を見かける。

あちこちで渡している場面もあった。

肝心の僕はと言えば、初詣の時の浅野の言通り期待はしていた。

教室に入ると浅野はもう来ていた。

僕を見ると、いつになくはにかんだ笑顔でおはようと言った。

僕もおはようと返す。

予鈴が鳴って席につく時、すれちがいざまに

「帰りにね。」と浅野が言った。

 

「部活頑張ってね。」

浅野に見送られて部室に向かう。

部室でもチョコの話題で持ち切りだった。

もう貰っている輩もいて見せびらかす奴や後輩のチョコを奪おうとする先輩もいた。

そんな連中を横目で見ながら、僕は部活が終わるのを待っていた。

 

「あれっ?美由紀姉じゃん。どうしたの?」

着替えをも終わり部室を出て体育館のところで美由紀姉に出会した。

「どうしたの?は御挨拶なんだけど。せっかく手作りしたんだけどなぁ。」

あっ、そうだ、去年も手作りチョコくれたんだっけ。

だけど手作りと言っても試作品(失敗作とも言う)で出来映えの良い物は当然彼氏用。

でもあえて手作りをくれるのだから、男としては嬉しかった。

でも今年は浅野がいるから、くれるとは思ってなかった。

「はい、どうぞ。」

「ありがとう。」

チョコをバッグに入れて浅野が待ってる図書室に向かおうとする

僕の前に美由紀姉が立ち塞がる。

「何?」

「・・・じゃないよ。」

「えっ?何て言った?」

「それ、義理じゃないよ」

叫ぶように言いながら抱きついて来た。

「美由紀姉?」

「・・・。」

胸に顔を埋めて何か言ったが聞こえなかった。

「好き。」

もう一度言った言葉はハッキリと聞こえた。

顔を離し眼を瞑る美由紀姉。

そのまま何も言わない。

「美由紀姉?」

「あのさ美由紀姉、もうその手には引っ掛からないんだけど。」

「ちぇ、やっぱりばれたか~。」

二度も引っ掛かってたまるか。

眼を開けて美由紀姉が笑い出す。

「あっ、でもそれ今年も一応手作りだから心して食べるように。」

呆れ返る僕を尻目にそう言い残して帰る美由紀姉。

って、見送ってる場合じゃない、浅野を迎えに行かなくちゃ。

 

図書室に入るといつもの窓に近い席に浅野はいなかった。

トイレかなと思いつつその場所に立ってみる。

ああ、確かにここからならテニスコートが見えるな。

「あれっ?なんであそこにいるんだ?」

コートを囲うフェンスの所に浅野が立っていた。

慌てて下に降りていく。

「どうした?こんなところで?図書室で待ってるんじゃなかった?」

僕の掛けた言葉に振り向いた浅野の眼にドキッとした。

 

 

続く...

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2012年2月13日 (月)

寒っ!

『彼女の誕生日』
 volume 20 安堵 

 

「・・・。」

浅野がバスに乗って行った後、僕は暫くボーとしていた。

当然初めてのことだし、ましてや浅野の方からいきなり・・・。

結局その夜はよく眠れなかった。

目が赤いまま、学校へ行く。

今日が終業式なのが幸いだった。

まぁ、講堂で立ったまま居眠りなんてことも無いだろうから。

 

当たり前の事だけど、学校へ近づくにつれて

ウチの学校の生徒が増えていく。

同じ様な長い髪の子を見る度、口元に眼が行ってしまう。

浅野もどんな気持ちで来ているのだろう、

そんな事ばかり考えていた。

 

「あっ。」

下駄箱のところで遠藤と一緒にいた浅野に出会した。

「お、お早う。」「お、お早う。」

浅野も目が赤かい、と言うか遠藤も目が赤い。

それに遠藤の僕を見る眼が何か恨めし気だ。

まるで寝不足は僕のせいだと言わんばかりに。

「ぷっ。」

その眼が何となく可笑しくて吹き出してしまった。

浅野も気付いていたのか釣られて笑い出す。

それまでのぎこちない空気が急に和んだ。

遠藤と別れて教室へ二人並んで行く。

和やかな雰囲気のままで初詣の約束を取り付ける。

正確に言えば元日には二人とも家族で行くので

“初”ではないんだけど、三日は空いていると言うので

三日に初詣の約束をした。

 

元日に届いた年賀状の中に浅野の浅野の名前を見つけた。

女の子との年賀状のやり取りは初めてなので

何て書いてあるのか気になる。

『A HAPPY NEW YEAR 昨年は大変お世話しました』

早速裏を見て、ちょっと笑ってしまった。

「三日の初詣は私の家の近くの神社に行きたいんだけど・・・、いい?」

初詣に誘った時、浅野がそんな事を聞いてきた。

浅野がどんなところに住んでいるのかも見てみたいし

特に断る理由もないので二つ返事でOKした。

バスを降りた時、バス停まで浅野が迎えに来ていた。

浅野は5月に会った時と同じ様に髪を編み込んでいた。

「・・・。」

こんな時、何て言えば良いのだろう?

何か照れ臭さが先に来て上手い言葉が見つからない。

晴着があまりに似合っていたから・・・。

「これだとバスのステップでつまづいたりしそうだから来てもらっちゃた。」

「・・・。」

「ねぇ?何か言ってよ。」

ちょっと膨れっ面も可愛く見えて困る。

「・・・、あっ、ごめん、ごめん。見とれてた。」

ようやく出た僕の言葉に、へへっと笑ってクルッと回った。

そう言えば、美由紀姉も祭りの時浴衣で同じ様なことしたなぁと

思い出した・・・が、口にはしなかった。

イブの時、僕がよく眠れなかったのは高揚と驚きだけじゃない。

いきなりのキスの前に見せた浅野のすごく哀しそうな眼・・・。

それがすごく気になっていたからだ。

あの時も僕が美由紀姉の話をしていた時だった。

ヤキモチ?いや、それだけじゃないよな?

何だろう、上手く言い表せないのがもどかしい。

終業式の日、浅野は普通に笑ってくれた。

僕はすごくホッとしたし嬉しかった。

これからは浅野の前では美由紀姉の話題を出さない方がいいのかも知れない。

 

「来月、期待していてね。」

別れ際、浅野は楽しそうに、そして悪戯っぽく笑って手を振った。

 

 

続く...

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2012年2月 3日 (金)

もう2月

早いですねぇ。

今年はブログを・・・と思ってましたが3月までは

ちょっと気忙しく、もう少し落ちったら何かアップしたいと

思います^^

そういえば、私の結婚式をする場所はフレンチのレストランなのですが、

石田純一や川島なお美など多数の芸能人が常連の場所らしいという

情報を最近知り、えらいところで式を挙げようとしている自分に

驚いております^^;

ドラマの撮影もたびたびあるようで、専業主婦探偵の撮影もあったとか。

う~ん楽しみです^^

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